40年振りに訪れても、子供の頃の遊び場はいつだって僕をワクワク安らかにする

40年振りに訪れても、子供の頃の遊び場はいつだって僕をワクワク安らかにする

column 23

池田 達也

April 28, 2017

「佐賀で思い出の場所は?」と尋ねられたとき、真っ先に思い浮かんだのが石井樋(いしいび)でした。
私は高校卒業後に上京するまで大和町に住んでいて、石井樋は子供の頃の遊び場のひとつでした。夏場になると毎日のように近所の幼なじみたちと泳いだり、かくれんぼや缶蹴りなどをして遊んでいました。

少年時代の自分を探すかのように、40年振りの石井樋を見つめる池田さん

現在は公園として整備されている石井樋ですが、40年前は川の氾濫で壊れたコンクリートの残骸が残り、鬱蒼とした竹林と雑草が伸びていて、廃墟の赴きすら感じられるただの河川敷でした。水の流れは速く、雨が降ると水かさも増し、ちょっと危険な臭いが子供心を刺激したことをよく覚えています。

現在は、当時の治水施設を復元し、公園として整備されている

毎日のように、川で泳いで遊んでいるうちに、子供なりに危険を察知する能力が身に付いてきたのでしょうか。台風の後やこれから大雨が降ってきそうな時など、水に濁りを見つけると潔く泳ぐことを諦めて、罰当たりなことに佐賀の治水の神様とも言われている成富兵庫茂安(なりどみひょうごしげやす)を顕彰する水功之碑によじ登ったり、かくれんぼをしたりして遊んでいました。

「よくこんな急なところ登ってたな〜」と、当時の面影はあちらこちらに存在していた

小学生までは頻繁に石井樋に来ていましたが、中学生になると学校の友達と遊ぶ様になったことに加え、部活動に参加したこともあり、石井樋へは次第に足が遠のいていきました。

嘉瀬川の堤防沿いの道は高校時代の通学路でもあったのですが、石井樋に立ち寄ることも無いまま高校時代を過ごし卒業後は上京、こうして石井樋を訪れるのは約40年振りとなります。 私が子供の頃に比べ綺麗になって、すっかり様変わりした石井樋ですが、水辺を歩いていると子供の頃の記憶が次々と鮮明に蘇ってきました。そして、さが水ものがたり館で当時の写真を見つけた時は感動しました。

「僕も写っているかもしれませんね!」と、さが水ものがたり館には少年時代の石井樋が展示されていた

冬の日の平日ということもあり、人影はまばらで子供達が遊ぶ姿も見られませんでしたが、訪れた途端、不思議なほど安らかな気分になったのは、自分が子供の頃に最も好きだった場所だからでしょうか。

あまりの心地良さに、思わず楽器を弾きたい気分に駆られ、気がついたら一曲弾いてしまいました。当時の自分に聴かせるような気持ちで。

                                      

当時へ向けた美しい音色が、広大な風景に溶けていった

堤防や河川敷の景色も変わっているはずなのに、ここが自分にとっての”原風景”だと確信した次第です。

text by 池田達也, photographs by 堀越一孝

DATA
石井樋(さが水ものがたり館)
佐賀県佐賀市大和町尼寺
TEL:0952-62-1277
開館時間 9時30分から17時まで
休館日 月曜日(ただし月曜日が祝日の場合は翌火曜日)
12月29日~1月3日(正月休館)
入館料 無料

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