図書館に泊まりたい!という本好きの夢が叶う場所

図書館に泊まりたい!という本好きの夢が叶う場所

column 13

恵良 五月

May 12, 2017

春になりました。農繁期に突入です。就農前、私は浅はかにも農業に対して〈晴耕雨読〉というイメージを抱いていました。

 

けれど、現実はそう甘くありませんでした。夏野菜の準備で大忙しの春に雨が降ると、準備が間に合わないのでは?とざわざわするし、収穫が始まれば雨でも合羽を着て毎日毎日畑に出ます。ハウス内での作業は雨でもできるし、事務的な仕事も雨の日に片づけたり…。現代農業は〈晴耕雨読〉というわけにはいかないのです(とほほ)。

 

本格的な農繁期を迎える前に、私にはどうしても行っておきたい場所がありました。それは、昨年10月、古湯温泉にオープンした『泊まれる図書館 暁』。
古湯温泉には娘の通う中学校があり、普段の買い物もする馴染みの場所。けれど、メインストリートの一本向こうの道には、私の知らない空間がありました。『暁』の前に立った私は一瞬、別の世界に迷い込んでしまったような感覚にとらわれました。

 

館長の白石隆義さんとは面識があり、何度かお話もしたことがあるというのに、私はなぜかひどく緊張して、入口のふすまを数センチ開け、こっそり中を覗きました。静かなんですねえ。そんなわずかな物音にも、すぐに白石さんが気づいて、迎えに出てきてくれました。
ほっとして中に入ると、そこは、本好きにとってまさに夢の部屋。

本好きにはたまらない、いつまでもいたくなる空間

本の詰まった木箱がたくさん、美術館の立体作品のように並んでいます。ここにあるのはすべて、誰かの「とっておき」の本。九州にゆかりがあって本好きな方60人くらいに「自分にとって大切な、自宅の本棚にずっと残しておきたい20冊」を選んでもらい、その選者さんごとに木箱を配置しているのだそう。本の裏表紙の内側にはポケットがあって、選者さんが「この本を選んだ理由」が書かれています。そして、ポケットの中のカードには、その本を読んだ人がコメントを書けるようになっています。だからここでは、本と出会うだけではなく、その本を選んだ、あるいはこの本を読んだ、だれかと出会い、つながることができるのです。

コーヒーを淹れる館長の白石隆義さん

気に入った本を見つけたら、コーヒーやお茶をオーダーし、こたつに入って読んでもいい。窓際にある座椅子にすわり、ときおり本から目を上げて庭を眺めながら読んでもいい。
富士町は水が良いので、コーヒーもお茶もとってもおいしいのです。そして、「暁」のオリジナルブレンドコーヒーは、「さめてもおいしく飲めるように」ブレンドされているんだそうですよ。本に夢中になり過ぎて、せっかくの熱いコーヒーがさめてしまうことって、よくありますよね。白石さん、さすがです。やはり、わかっています。
お茶党の私は、赤ぶどう紅茶とレモングラスほうじ茶、どちらにしようか迷った末、レモングラスほうじ茶をいただきました。とってもさわやかなほうじ茶でした。

レモングラスほうじ茶をオーダー

地元富士町と三瀬村に住んでいる人は、無料で本を借りることもできます。古湯温泉の宿泊者も、宿泊期間中は借りられます。『暁』に宿泊するなら、グループで利用するのがおススメ。一軒まるごと貸し切りなので、人数が多いほど割安になるのです。定員は5名まで。

白石さんは言います。
「僕がしたいのは、本を介して人と人がつながり、その緩やかなつながりが和やかな風景を紡ぐ〈本好きの聖地〉をつくること」
白石さん、こんなにすてきな場所を作ってくれて、ありがとうございます。どうか本当に、古湯温泉を〈本好きの聖地〉にしてくださいね。

DATA
泊まれる図書館 暁
住所 佐賀県佐賀市富士町古湯761-1
Tel. 0952-58-2105
開館 図書館/カフェ 12時~15時
(宿泊がない日は18時まで)
宿泊 16時~翌11時
休館 水・木曜(祝日は開館)

http://library-inn.jp/

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