べんじゃさん祭り~田の神様に豊作を祈る~

べんじゃさん祭り~田の神様に豊作を祈る~

column 17

恵良 五月

July 21, 2017

私たちの暮らす集落では、毎年5月3日に「べんじゃさん」というお祭りが行われます。「べんじゃさん」とは「弁財天さま」のこと。お米の豊作を祈願するお祭りです。

お祭りは夕方5時頃からですが、まずおのおの、山の中にある「べんじゃさん」にお参りし、今年の豊作を祈って手を合わせます。

 

山の上のべんじゃさんに向かう

山の上のべんじゃさんに向かう

 

お参りを終えたら、公民館で宴会です。公民館の駐車場にシートをひいて、集落で植えた八重桜のお花見をするのが恒例なのですが、お昼過ぎの雷雨で地面がぬれてしまい、今回は公民館の中での宴会となりました。

 

お花見をするはずだった駐車場

お花見をするはずだった駐車場

 

お祭りには「ていす」といって、べんじゃさんのお掃除からお供え、宴会のお酒、お料理、お茶菓子の手配などをするお当番が、地区の班(古賀といいます)ごとに回ってきます。「ていす」というのは多分、「亭主」って書くのだろうと思うんですけど、まさに英語で言うところの「host:ホスト(客をもてなす主人)」。この言葉を初めて聞いたとき、とってもローカルな方言とグローバルな英語の意味が感覚的に一致していて驚きました。

その「ていす」が用意してくれたお酒を飲み尽すまで、宴は続きます。男衆は飲んでばかりであまり食べないので、お祭りの後半には、男衆の前に置いてあったほとんど手つかずの鉢盛りが、お酒を飲まない奥さん陣のテーブルに回ってきます。男衆は奥さんたちに「ちゃんと食べないと、うち帰ってもご飯なかよ~」と怒られます。私はおなかいっぱい食べられて、うれしいんですけどね。

 

たくさん飲んで、たくさん語る

たくさん飲んで、たくさん語る

たくさん飲んで、たくさん語る。それがとても幸せな時間

 

私は、このお祭りが好きです。田植え前のそわそわした気持ちを、みんなで共有しているから。お酒を飲んで、食べて、楽しく笑っているけれど、みんな心の片隅に「もうすぐ田植え」という気持ちがある。そんな「そわそわ」を新参者の私たちも共有していることが、なんだかうれしいんです。うちのダンナさんも、苗の出来はどうかとか、今年は水が少ないとか、代掻き(田んぼの表面を丁寧に掻き混ぜながら平らにする作業)は済んだかとか、そんな話題が飛び交う会話に参加しています。

神事が行われるような大きなお祭りではありません。でも、誰もが、本当に豊作を願っている。きっと「べんじゃさん」に真剣にお祈りしているのだと思います。もちろん、私たちも本気でお祈りします。みんなが心をひとつにして、ひとりの神様に同じことを願うって、すてきなことです。儀式に頼るのではなく、ただ心を込めて祈るだけのお祭り。

 

公民館の窓から見た集落の夕暮れ。水を張って、田植えを待つばかりの田んぼが見えます

公民館の窓から見た集落の夕暮れ。水を張って、田植えを待つばかりの田んぼが見えます

 

地域の子どもたちもお祭りに集まって、おとなたちが宴会をしている間、公民館の外で遊びます。中学2年生の娘も、小学生たちに混じって、鬼ごっこをして遊んでいました。一番近くに住んでいる同級生の家まで約7キロという環境で、なかなかお友達と遊ぶ機会を持たせてあげられないのがいつも気になっています。だから、お祭りで集まって、娘がいろんな年齢の子どもたちと遊んでいる姿を見ると、ほっとするんです。

 

「べんじゃさん」のお祭りは秋にもあります。こちらは収穫感謝のお祭り。秋の「べんじゃさん」はさらに趣があるんですよ。「べんじゃさん」の前で火を焚いて、みんなで火を囲んでの宴会です。

 

さあ、今年のお米はどうなるでしょうか? 天候はどうでしょうか? 病気は出ないでしょうか? ああどうか、実り多き年になりますよう、べんじゃさん、よろしくお願いします!

DATA
佐賀市富士町菖蒲地区

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