鎮守の森で出会った巨木と蛙は、神様の使いだったのか。

鎮守の森で出会った巨木と蛙は、神様の使いだったのか。

column 03

馬場 正尊

January 15, 2016

翌朝は快晴だった。抜けるような青空とはこういうことを言うのだろう。青空とカンだけを頼りに、ただぼんやり気の向くまま車を走らせてみることにした。

 

神埼というエリアは自然にとても恵まれている土地だということを吉野ヶ里遺跡の存在がそれを証明している。太古の昔からこの場所には人々が暮らし日本で最も初期に農耕を始めた場所だ。脊振山地の端に広がる平地に、豊かできれいな水が溢れているこの風景を見れば容易に想像ができる。神様に愛された土地なのだ。

 

川が流れ、水田が広がり、そこに意図してつくられた樹々の塊が見えた。何か独特の気配のようなものを感じて、導かれるようにぼくはそこに近づいていった。緑の奥のほうに、小さな神社のようなものが見える。どうやらここは鎮守の森のようだ。

樹々の奥にみえた小さな神社。右側にクスノキの巨木。

樹々の奥にみえた小さな神社。右側にクスノキの巨木。

そこは樹々が生い茂り、昼間なのに薄暗い。空気も周辺に比べて少しだけひんやりしているように感じる。葉と葉の間から落ちてくる光が地面にくっきりとした陰影を描いている。

 

石でできた鳥居をくぐり抜け境内の奥に入っていくと、そこには巨木があった。驚くほど大きく、生命感みたいなものに溢れている。地面近くの幹は苔むしていて、この木がどれほど長くここに佇んでいたかをうかがわせる。ぼくはしばし、この巨木を眺めていた。そばに小さな看板が立っているのに気がついた。この巨木と神社の歴史についての説明だった。クスノキ樹齢1000年、神社の歴史は貞観15年(西暦873年)よりも前から始まっている。小さいけど深い歴史がある。

深い歴史のある白角折神社とそのクスノキ。

深い歴史のある白角折神社とそのクスノキ。

蝉の声を見ながら、小さな社殿の前に立って手を合わせた。何とも言えない落ち着いた気分。いつもより僕は長めに目を閉じて、いろんなことを考えた。本当に欲しかったのはこんな時間なのかもしれない。

小さいけど歴史のある神社に手を合わせる。

小さいけど歴史のある神社に手を合わせる。

ふいに足元に何かが動いたような気がした。目を向けてみると、そこには小さな小さなカエルがいた。美しいフォルムの物体だった。僕は小さい頃から何故かカエルのフォルムが好きだった。なぜかはわからないけれど、アンバランスで滑稽なプロポーションが好きなのだと思う。見つけたカエルもまた、とてもきれいな形をしていた。

捕まえてみたら、砂だらけになってしまったカエル。

捕まえてみたら、砂だらけになってしまったカエル。

芭蕉ならばここで一句読むのだろう。僕も言葉を探してみたが、たいしたものがみつからなかったのでそのまま静かにこの森を出た。
神埼一帯には、とても神社が多い。一つ一つは有名ではないけどアノニマスな神社と鎮守の森を探して、太古の昔から広がる平野をただ走る。そんな旅を僕はここで発見したような気がする。

 

(edit.馬場正尊 / 2015.07.25)

白角折神社
佐賀県神埼市神埼町城原3437

https://goo.gl/maps/JhmcSSpTyzw

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