見事なエメラルドグリーンの水面 - 心を落ち着かせる秘色の湖

見事なエメラルドグリーンの水面 - 心を落ち着かせる秘色の湖

column 04

吉岡 徳仁

January 22, 2016

ほのかに冷たさを帯びた風は頬を撫で、そのまま彼方へと吹き抜けていく。時刻は13時を過ぎた頃。木陰は肌寒く、その木々の隙間から差し込む太陽の光に暖かさを感じる。11月中旬の「有田ダム」は教えてくれた。日光が地面に降り注がれ、どこからともなく風が吹く、そんな当たり前の自然の営みが確かに存在していることを。

 

「有田ダム」は有田川水系の白川上流にある。佐賀県初の多目的ダムとして1961年に竣工。以来、河川流域を水害から守り、そして同時に大切な水源として、この地にあり続けてきた。それから約半世紀が経った今も、ダムは静かに、地域の暮らしを支えている。

 

人間に水が必要なように、吉岡にとっても、有田ダムは欠かせない場所だった。高校時代、有田の街に移った吉岡は、趣味の釣りに勤しむため、週に一度くらいのペースでこのダムに訪れたという。

 

お気に入り釣りポイント。

お気に入り釣りポイント。

釣りの日は、授業が終わると真っすぐ家へと帰り、そこからやや山手にあるダムを目指して坂道をのぼっていく。自転車で5分くらい、歩くと15分くらいの距離だった。そして、ダムに着くと、ダムの中央あたりへと移動し、草をかき分け、道なき道を進んでその日の釣り場所を探す。ポイントが決まると腰を据え、時間の許す限り、釣りに没頭した。

見事なエメラルドグリーンの水面。(C)吉岡徳仁

見事なエメラルドグリーンの水面。(C)吉岡徳仁

吉岡の脳裏にはっきりと残っているのが、水面の色だ。
「見事なエメラルドグリーンだった。本当にきれいだった」
その言葉通り、波風のない穏やかな湖面は吸い込まれるような色が視界いっぱいに広がった。

 

湖面は周囲の景色を映し出す鏡でもある。豊かに生い茂る木々、頭上の空模様を取り入れ、心を落ち着かせてくれる光景を生み出す。この湖の美しさに魅了された詩人・山本太郎は「秘色の湖(ひそくのうみ)」と呼び、その名は現在も地域で親しまれている。

木と水の美しいコントラスト。

木と水の美しいコントラスト。

そんな景色を眺めていると、吉岡もまた、自然を感じつつ、気持ちをリフレッシュしていたのだろうと思えた。

 

現在、ダムの周りにはぐるりと散策できるように遊歩道が整備されていた。春は桜、秋は紅葉が彩り、エメラルドグリーンの水面とのコントラストが見事だ。

(edit.山田祐一郎 / 2015.11.03)

有田ダム:佐賀県西松浦郡有田町

https://goo.gl/QHBYtg

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