ラーメンに“サワー”という化学変化を添えて。

ラーメンに“サワー”という化学変化を添えて。

column

April 27, 2016

初めて訪れた人は十中八九、店名が読めないだろう。だが、それが興味をそそる。
須彌亭———この3文字で「しゅみてい」という。
店があるのは、佐賀県江北町の旧道沿い。一目で歴史を感じさせる外観だ。

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カウンター席と奥でラーメンをつくる店主。

中に入ると、カウンターが数席。ぼくらはその奥へと通された。そこには座敷があり、なんだか親戚の家にふらりと立ち寄ったかのようなアットホームな空気感がある。なんでも店主の弟さんが始めたラーメン屋「須彌山(しゅみせん)」が元々あったそう。現在はその店をお兄さんが引き継ぎ、屋号を「須彌亭」に変え、母親と一緒に切り盛りしているそうだ。

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メニューはこちら!

メニューを見ると、実にさまざま。豚骨ラーメン、塩ラーメン、ピリ辛ラーメン、ネギ油ラーメン、ゆず塩ラーメンなどなど、本当に幅広い。店名を冠した“須彌亭ライス”なんてものもあり、なかなか決められない。

 

中でも珍しいのが、塩ラーメンの存在。店主曰く「佐賀のラーメンといえば豚骨ラーメンが大半を占めています。だからこそ、激戦に加わらなくて済み、個性が出せる塩ラーメンを作りました。これだったら他を気にせず、自分が美味しいと思えるものが出せますからね」と笑顔を見せた。

 

塩ラーメンを注文しようと心が決まり、顔を上げ、ふと壁に目をやると、あることに気が付いた。ひときわ目立つように、“塩サワーラーメン”と謳ってあるではないか。塩ラーメンは分かる。が、サワーである。サワーって何?あのレモンサワーといったカクテルのサワー?ひょっとしてサワークリームが入っている?? ヌードルライターの肩書きで活動しているものとして、これは放っておけない一品である。よし、腹は決まった。

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塩サワーラーメン。佐賀では珍しい透明のスープ。

やってきた塩サワーラーメン。ビジュアルはいわゆる塩ラーメンだ。ただ、上に“サワー”的な何かがトッピングされているのが見て取れる。ベースのスープは塩ラーメンに使われているそれ。豚骨をベースに、独自に塩を合わせているという。豚骨ならではの力強さが、脂っ気をそれほど感じさせずにスーッと入ってきた。じわりと旨味が口の中で広がる。

 

そして、ほんのりと清涼感を伝えるサワーが、ここから良い仕事を見せる。サワーによる酸味が味わいのフックになり、スープがどんどんと進んでいく。皿うどん、担々麺など、脂っこい一皿に酢を垂らすと味の輪郭が引き締まり、味わいが深まるのと同じように、このサワーもまた同様の効果をもたらしていた。

 

つるっとしなやかな食感の麺も合う。

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よく混ぜて食べてね、須彌亭ライス。全ラーメンに+\250でセットにできます。

ちなみにこちらのもう一つの名物、須彌亭ライス。佐賀名物「シシリアンライス」を思わせる野菜たっぷりのビジュアルが興味、そして食欲をそそる。聞けばこちらの一品には「チャーハンだと鍋を振る際、付きっきりになるんです。その手間を省いて美味しいご飯ものが作れないかと考案したんですよ」といった誕生秘話があった。

 

思いがけない、未知なる一杯(麺もご飯も!)との出会いに心が弾んだ。

 

(edit.山田祐一郎 / 2016.03.05)

須彌亭(しゅみてい)
電話 0952-86-3851
住所 佐賀県杵島郡江北町大字佐留志2200
営業 11:30~14:00、18:30~22:30
定休 月曜

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