浮世を離れた全部盛りメルヘンの世界。

浮世を離れた全部盛りメルヘンの世界。

column 09

岡 康道

June 29, 2016

楽しさいっぱいの森の遊園地————その施設のパンフレットには、イメージキャラクターであるマメルくん、ユメルちゃんと共に、そんなキャッチコピーがハッピーで、キュートで、カラフルなデザインによって謳われていた。

 

「佐賀市大隈記念館」を後にした岡は、次の目的地に、この「武雄・嬉野 メルヘン村」を指名した。
「なぜ、岡さんがわざわざこの場所を」。同行した私たちの頭に「?」が浮かぶ。なぜなら、目の前にいる岡さんは、クールで、ダンディな印象があり、誤解を恐れずに言うと“メルヘン”な世界から程遠いように思えたからだ。「武雄・嬉野 メルヘン村」へ向かう途中、その謎は明かされた。

マメルくんとユメルちゃんが出迎えてくれるエントランスの建物。

「東日本大震災の直後、佐賀に家族で一週間ほど滞在しました。嬉野に3日間、唐津に3日間だったな。当時、旅館もキャンセルが相次いでいたようで、すぐに予約が取れたんです」

嬉野で過ごした折、ここへも立ち寄ったのだと岡は教えてくれた。

 

ゲートの前に着く。そして、すぐに気がついた。ここはちょっと面白いぞ、と。二宮金次郎や織田信長の銅像があり、その傍らには中国の兵馬俑をモチーフにしたであろう像が強く主張する。入り口近くには白雪姫と小人たちの像も置かれていて、和洋中、すべてが揃う“ファミリーレストラン”を思わせるようなラインナップだった。

人気者のすばらしい揃いっぷりに目移りする。

ゲートを越えて園内に入ると、ディープ感はいっそう増す。目下、海賊王を目指している彼、国民的アイドルの青い猫型ロボット、ハムスター似の黄色いモンスター、カラータイマーをつけた“超男”などなど、新旧問わず大集合しているアニメキャラクターたちが目を楽しませてくれる。それはまさにカオスの様相。ファミリーレストランだと思っていた場所は、実は巨大なフードコートだった。

 

「あの時、これから日本はどうなるんだろうと思った」

そんな岡の想いとは懸け離れた目の前のメルヘンの世界。記憶に色濃く残り、今回の訪問へと駆り立てたのかもしれない。

大人も乗ってみたくなるいろんな形の三輪車。

昭和を思わせるようなレトロな遊園地には、すべり台や観覧車、大型遊具といった無料で遊べるものから、メリーゴーランドや列車といった有料の乗り物も点在する。リスやうさぎなどと触れ合うことができる動物ランドもあるし、夏はプールも営業している。岡の息子たちは三輪車が気に入ったようで、ぶつけ合って遊んでいたそう。そのうち陽は傾き、結局、丸1日をこの場所で過ごした。子供たちは飽きることなく、遊び続けたそうだ。

遊園地の主役メリーゴーランドとなんだかミスマッチな岡さん。

「こうやって純粋に楽しめるって良いですよね。自分自身もそういうものを今も大切にしていますよ。勉強のため、仕事のため、そんな何かのためじゃなくって、心から面白いことに没頭する。そういうものって、一見すると無駄に見える。でも、無駄こそエネルギーになる」

 

(edit.山田祐一郎 / 2016.01.30)

DATA
住所 佐賀県武雄市西川登町大字神六20040
電話 0954-28-2835
入園時間 3~10月9:00~18:00(最終入場17:00)、11月9:00~17:00(最終入場16:00)、12~2月10:00~17:00(最終入場16:00)
定休日 なし(平日は天候により臨時休業あり)
入場料 高校生以上1100円、3才以上中学生まで700円、2才以下の幼児は無料、60才以上880円 ※60才以上の場合は料金支払い時に年齢の分かる身分証明書が必要

http://www.marchen-mura.jp

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