建築への道へ導いてくれたのは、佐嘉神社の屋根?!

建築への道へ導いてくれたのは、佐嘉神社の屋根?!

column 12

西村 浩

September 08, 2016

三つの道を巡った後、西村に連れられ、「佐嘉神社」にやってきた。この神社は、幕末を生き、名君との誉れが高い佐賀鍋島藩10代直正と、その後を継いだ11代直大という2代にわたる藩主を祀っている。学問、交通、文化の神が祀られており、とりわけ初詣の際は、多くの参拝客で賑わう。

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大きな木製の鳥居も立派な佐嘉神社

そんな「佐嘉神社」と西村の接点について聞くと、少年野球が大きく関係しているのだという。

 

「小学生の頃は練習漬けの毎日でしたからね。毎年、大晦日に集まって、円陣を組み、五社参りをしていたんですよ。おおよそ4.5kmの距離を仲間たちと一緒に走りました。それでとても記憶に残っているんです」

 

この佐嘉神社では「八社詣巡り」ができることでも知られている。同じ敷地内にある八社を巡り、お参りし、学業成就や厄除け、交通安全、商売繁盛などを祈願するのだ。

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社殿の雰囲気と造形も美しい

ただ、西村の言う五社参りはこの八社詣巡りとは違い、独自に佐嘉神社を含む近隣の五社を回るコースだった。

 

「初詣というと、佐嘉神社と、あのランニングを思い出します。そんな記憶もあって、大学3、4年の頃に参拝に来たことがあるんですよ」

 

その際、思いがけない出来事が待っていた。建築に興味を持っていたこともあり、屋根の銅板が張り替えられている様子を熱心に見ていたら、大工から「登ってみるか?」と声を掛けられた。

 

初めは遠慮しながらも、そのような機会はまたとないと考え、屋根の上にあがらせてもらった。実際に登ってみると、下から見ていただけでは分かり得ない急勾配が待っていた。目の前に現れた反り返った屋根に、思わず足がすくむ。加えて、光沢のある銅板の表面はアイススケートのリンクのようで、見るからにツルツルとしている。ちょっとした拍子に、滑り落ちてしまいそうな状態だった。ところが、その上を大工たちは平地と変わらないように身軽に歩いている。手際よく、次々と銅板を張り替えていく姿に、青年西村はただただ驚くばかりだった。nishimura02_03l

今考えるとよく登らせてくれたよな〜と思い出の屋根を見つめる西村さん

「少年野球がつないだ縁ですね。それまでは土木の道に進むべく、学んでいましたが、建築の素晴らしさの一端に触れさせてもらいました。今にして思えば、ターニングポイントだったのかもしれません」

 

元々、佐嘉神社は反射炉や大砲カノン砲、アームストロング砲などを作り、日本の近代化に大きく貢献した鍋島直正を祀っていることもあり、境内の鳥居付近にカノン砲が鎮座する。

大晦日には計8発の祝砲が鳴り響き、一年が締めくくられるのだという。
闇夜に鳴り響く轟音。その音は、影で努力する者たちの背中を押すかのようだ。nishimura02_04l

佐賀市の中心地に鎮座する佐嘉神社

(text by 山田祐一郎 , photographs by 堀越一孝)

DATA
佐嘉神社
住所 佐賀県佐賀市松原2-10-43
電話 0952-24-9195
参拝時間 5:00~日没
定休日 なし
入場料 無料

http://www.sagajinjya.jp/

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