城濠に星空を描く「水鏡プロジェクト」

城濠に星空を描く「水鏡プロジェクト」

column 29

村岡 昌一

November 29, 2017

「きれいかねぇ」と高齢の女性の声が聞こえてきた。「来てよかったね、母さん」と、横に座る娘さんが返す。夜を迎えた佐賀城公園のお濠に、温かな灯りが揺れている。城濠に夜の景観を創り出す試み、「水鏡プロジェクト」の灯りだ。

水鏡プロジェクトについて話す向井さん

「舟から見たお濠に映る月が本当にきれいで、忘れられないんです」
「水鏡プロジェクト」を主催する一般社団法人佐賀県建築士会のメンバーの向井浩史さんが、このプロジェクトのきっかけを話してくれた。
今年で二回目を迎えた「水鏡プロジェクト」では、向井さんが感動した光景を題材に、星に見立てた約300個の灯籠をお濠に配して、一夜限りの夜の景観を創っている。

子ども達が作った灯籠

「将来は、地域の方々も参加する行事になればと思っているんです」と向井
さん。今年は、夏休みの期間中に「名尾和紙の紙漉き体験と灯りづくり」を行った。地域の子ども達の手による紅葉などをあしらった灯籠が、遊歩道を彩る。
ろうそくの灯火が温かく照らし出す和紙の灯籠を使うのは、「この場所と調和する灯りを使いたい」という思いからだ。

お濠に広がる星空

「水鏡プロジェクト」では、お濠に浮かべた舟に乗ることができる。めったにない機会を求めて、日が暮れる頃にはたくさんの人が列を作った。舟は、滑るように灯籠の間を進んでいく。人々は、水鳥の目線で水面に広がる星空の小旅行を楽しんでいた。

橋の上から夜の景観を楽しむ人たち

いつものお濠とは違う美しい光景に誰もが感動し、記憶に留めた。たくさんの人達が同じ思いを共有したことで、きっと地域の新しい動きにつながっていく。
「来年(2018年)のことも、考えていますよ」
向井さんはにっこりしながら、お濠を見つめた。

会場:佐賀城公園南堀 佐賀市城内1丁目13(佐賀城公園南堀)
主催:一般社団法人佐賀県建築士会 青年委員会・女性委員会・佐賀三地区建築士会

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