歌うこと、踊ること。喜びを分かち合う春の一日

歌うこと、踊ること。喜びを分かち合う春の一日

column 51

村岡 昌一

July 24, 2018

客席にも踊りの輪が広がった。

「ビバ、セビージャ。ビバ、セビージャ…」。

抜けるような青空が広がった2018年4月22日。『さが・フラメンコフェスティバル』が開かれている『656(むつごろう)広場』に、スペインのセビリアに息づく明るい民謡『セビジャーナス』が流れると、ステージだけでなく客席にも笑顔いっぱいの踊りの輪ができる。何と喜びに溢れた光景なのだろう。

開会の準備が整った佐賀市中心商店街の広場に着くと、いつもとは異なる雰囲気を感じた。出演者、観客の期待や静かな興奮が響き合い、膨らんでいるのだ。飲食物を提供する出店は、串に刺した肉を炭火の上に並べ、美味しそうな匂いと煙をもうもうと上げている。誰もが開会の刻を待っていた。

「さが・フラメンコフェスティバル2018の開幕です」。
午前11時、主催者の代表から開会が告げられると、情熱や喜びを一気に解き放つような歌と踊りが始まった。

会場全体で『セビジャーナス』を歌った。

見事に踊りきった子どもたちに拍手が送られる。

ステージで披露される『セビージャナス』をはじめとする明るい歌や踊り、子どもたちの可愛らしい姿に笑顔が広がり、哀愁を帯びた旋律と凄みのある踊りは、周囲のざわめきをかき消し、観客を釘付けにする。

情熱的で激しい踊りに圧倒される。

ソロのフラメンコギターや、『カホン』と呼ばれる木の箱のような打楽器の演奏も披露された。

県外からも集まった出演者は、午後4時の終演まで数分刻みで次々と登壇していく。花火大会のクライマックスがずっと続くような、高揚感と疾走感を覚える。

熊本のスペインバル『エルカスティーヨ』の城さんは、美味しい「パエリア・バレンシア」を作り続けた。

スペインのワインとともに、フェスティバルを堪能した。

この日、佐賀市の最高気温は25℃を超え、夏日となった。スペインの瓶ビールは早々と完売し、焼き上がる大鍋パエリアを買い求める長い列ができた。湿度が低く、スペインのように日の当たるところは暑く、日陰はとても爽やかだ。

ギターを弾きながら踊りの輪の中に入っていく樺澤さん。

「いろんなご縁があってここまで大きくなりました」。佐賀市大和町のフラメンコスタジオ『ラ・アレグリア』の主宰者で、この日のために奔走された樺澤充郎さんは、感謝の言葉を口にする。勿論、縁は偶然ではない。樺澤さんをはじめ、フェスティバルに関わる人たちのフラメンコへの情熱や、佐賀を元気にしたいという強い気持ちが多くの人を結びつけている。

笑顔で踊る女性達。

掻き鳴らすフラメンコギターの乾いた音。
魂を揺さぶるような歌声。
踊る女性たちの力強いまなざしと靴音、繊細で優美な手の動き。
翻る色鮮やかな衣装。

鮮烈な情熱が、会場全体を包み込む。あちらこちらから「オーレ!」と声がかかり、拍手や歓声が湧き起こる。「ここに集い、同じ時間を過ごせる喜びを分かち合う」。そんな思いで、会場がひとつになったかのようだった。

『さが・フラメンコフェスティバル』は、眩しいくらいの幸せのエネルギーと、生きる喜びに溢れていた。これが、「フラメンコの力」なのかもしれない。

フェスティバルを終えて。全力で走り続け、ゴールした後のような充実感に溢れていた。

『2018さが・フラメンコフェスティバル』開催概要
 詳しくは、http://flamenco.saga.jp/fes2018/からご覧ください。
 ・日時 2018年4月22日(日) 11時00分~16時00分
 ・場所 656広場(佐賀市呉服元町)
 ・内容 フラメンコステージ、大鍋パエリア、ワイン販売、飲食販売、フラメンコ衣
     装・アクセサリー販売、チャリティー募金 他

佐賀でのフラメンコに関する情報は、「ラ・アレグリア」のHPをご覧ください。

http://la-alegria.net/

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