川と出会い、川と遊ぶ子どもたちの夏

川と出会い、川と遊ぶ子どもたちの夏

column 57

村岡 昌一

October 17, 2018

夏の暑さのレベルが信じられない程に跳ね上がった2018年、平成最後の夏。

強烈な日差しは、肌を突き刺すようだ。ワシワシワシワシと鳴くクマゼミの声は、止むことのないシャワーのように降り注ぎ、熱風のような空気は吸い込むことさえ嫌になる。そんな暑さでゆらめく先に、カラフルな浮き輪が見える。裁判所や検察庁が立ち並ぶ佐賀市中心部の西隣を流れる多布施川で、水遊びをする子どもたちの姿だ。

監視員が子ども達を見守る

多布施川の水遊び場は、川で遊ぶことを通して、川を大切にする気持ちを持って欲しいという願いから1983年に開設され、今年で36回目の夏を迎えた。佐賀の夏のくらしに欠かせない大切な場所として、この水遊び場は定着している。7月中旬から8月下旬までの1ヵ月間だけのオープンで、佐賀市が管理し、数名の監視員が子どもたちを見守る。

親子で水遊びを楽しんでいた

水の深さは20センチメートル程度で、水遊びをするのにちょうどいい。幼児から小学校低学年までの児童が、ここの主役だ。

護國神社の敷地から階段を下りて川に入る

水際へと階段を下る。「流れのあるけん、水はきれいかよ」と監視員の声が聞こえる。流されたビーチボールに、すぐに追いつけるくらいの流れだ。素足を水に入れると、冷たくて心地いい。足裏が、川底の砂が粗いことを感じている。歩みを進める横を小さな魚たちが通り過ぎていく。

ニュースで知り、遊びに来た親子

保護者が引っ張る浮き輪につかまり、ぷかぷか浮いている幼児、川の生き物を探したり、水しぶきを上げながらバタ足で泳ぐ小学生など、みんな水遊びに夢中だ。「手軽に来られることと、安全で安心して子どもを遊ばせられるのがいい」という利用者の声をいくつも聞いた。水遊び場を見渡す階段に腰を下ろし、子どもを見守る女性は「子どもが『まだ遊びたい』って言うので、予定より長くいないといけないのはちょっと辛いかな」と苦笑した。

少年の後姿に、昔の自分が重なる

子どもたちを眺めながら幼い頃の夏休みを思い出していた。大人にとってここは、遠い昔の自分と再会できる場所かもしれない。もうひとつ思った。子どもたちは「川で遊んでいる」のではなく「川と遊んでいる」のだと。この川は、穏やかできれいな水の流れでやさしく子どもたちを受け入れていた。

監視員の小池さん。この水遊び場について話をしてくれた

監視員の1人が子どもたちを見守りながら言った。
「こがん水遊び場はずっと続けていかんばね」。
同じ光景を見つめながら、私は大きくうなずいた。
それは子どもたちのためだけではない。この川と共にある多くの人のためにも、だ。

DATA
多布施川水遊び場
住所 佐賀市川原町8-15 佐賀県護国神社東側の多布施川
開催期間 7月中旬から8月中旬まで
開催時間 10時~16時

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