実はコンテンツリッチな佐賀!?佐賀の持つさまざまなコンテンツが今の自分の基盤となった

実はコンテンツリッチな佐賀!?佐賀の持つさまざまなコンテンツが今の自分の基盤となった

column 39

古瀬 学

November 22, 2018

高校卒業後、東京に移り約30年。大学卒業後起業し、ソフトウェア開発を入口にデジタルクリエイティブの道を突き進んできた佐賀出身の古瀬学さんに、子どもの頃、よく足を運んだという場所を案内してもらった。

 

最初に向かったのは佐賀県立図書館。1963年にできた鉄筋コンクリート造りの重厚感のある建物だ。中二階から北濠に続く階段、広いバルコニー、カウンターや閲覧室のある上階も凝った設計。小学生の古瀬少年はこの図書館の一階にある児童図書室に毎週のように自転車で通っていたという。

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久しぶりに訪れる県立図書館に、「こんなに狭かったかなぁ」と記憶を手繰り寄せながら歩く古瀬さん

 

その頃のお目当ては、誠文堂新光社が出版するロングセラーの月刊誌『子供の科学』。ラジオなどの電子工作、SF小説など、科学に関する幅広い情報が満載で、魅力の雑誌だった。今でも販売はされているが、この日、図書館で目にすることはできなかった。図書館にはたくさんの蔵書がある中、歴史や物語の本には目もくれず、古瀬少年が借りたのはひたすら好きな科学雑誌。小さい頃から生き物や宇宙、自然に興味があったといい、目的がはっきりしていた。
「当時、情報のリソースって、本や雑誌しかなかった」と古瀬さん。
「学校の図書館にもないなら、県立図書館へ」と通学路外にも関わらず、自分ルールで許可を下ろし30分ほどかけて自転車で出かけていたのだそうだ。

 

「ゲームもテレビアニメもSF映画も昔から好きでした。プログラミングに興味を持ったのは小学5年生の頃。計算機みたいなポケコン(ポケットコンピュータ)を手に入れて、それでモーターを駆動させロボットを作ったこともありました」。

 

10月後半にしては暖かすぎる秋晴れの陽気に包まれながら、私たちは図書館を出て、佐嘉神社前、それから松原神社の側を通り、呉服元町へ向かった。

 

昭和の雰囲気をそのまま残す中央マーケットの側で足を止めた。
「そういえば、この中に一時期、ディスクシステムのアングラなお店があったな。お好み焼き屋もありましたね」と懐かしそうに中を覗く。
※ディスクシステム…任天堂が発売したファミリーコンピュータの周辺機器。

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この雰囲気の中に少年の頃から出入りしていたとは、さすがだ

 

あの頃とはすっかり様変わりした元アーケード周辺の記憶をたぐり寄せて行くと、書店に文具店、ゲームセンター、おもちゃ屋、電気工作の部品なんかが買える大きな電機店があったことを思い出す。
「トランジスタ、コンデンサ、抵抗器とか店頭で買えるのはここだけだったような気がします。トランジスタは当時興味を持ち始めた少年にとってはたいそうなものに思えて。でも一個30円でした」。
当時、佐賀市の街なかという場所は、情報の集積場だったのだ。

 

古瀬さんはもう一つ、あまり知られていない佐賀の特色について、分析していた。
それは、この地域は立地的な事情で多くのテレビ局の番組が視聴できたということ。「アニメや特撮ものの再放送、バラエティやドラマなどあらゆる番組をたくさん吸収していました。つまり佐賀は“コンテンツリッチ”な一面があったということです」。

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今も新たなスペースがオープンしたり、コンテンツを提供し続ける佐賀市の街なか

 

映画のビデオレンタル代が1泊1,000円だった中学時代、友達を集めて上映会を開いたり、高校時代はバンドを組んでドラムを叩いたり。「興味のあることにはとにかく一生懸命な子どもでした」という古瀬さん。
より充実した“コンテンツ”を求めて、高校卒業後、東京へ。「高校を出て、東京の大学に進むという選択肢以外はなかった」と振り返る。

 

白山アーケードの中ほどで楽しそうに話してくれたエピソードがある。
「昔はここにダイエーがあったんですよ。そこにアイスクリームやハンバーガーショップが入っていてね、普通のハンバーガーは200円くらいするけれど、パテとピクルスだけを挟んだ100円のバーガーが売られていた。僕らはそれと80円くらいのジュースを合わせて『ローコストセット』と呼んで喜んで買っていました」

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この辺りがローコストセット発祥の地

 

80年代の終盤、中高生にとっては、限られたお小遣いでいかに放課後ライフを楽しむか。
それがキモだったように思う。何やらクリエイティブな響きのする「ローコストセット」に古瀬さんの特性(=楽しむ精神)が垣間見えた。

 

街なかを一通り歩いた帰り際、「今の自分を作り上げたものは決定的な何かではなく、佐賀で見て触れてきたいろんなコンテンツが影響していると思う」と話す古瀬さんの姿が印象に残った。

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モデラーズ松永(旧 松永模型店) の店内にて

 

text by 高橋香歩, photographs by 堀越一孝

DATA
佐賀県立図書館
住所 佐賀県佐賀市城内2丁目1−41

中央マーケット
住所 佐賀県佐賀市呉服元町2−2

モデラーズ佐賀
住所 佐賀県佐賀市白山1丁目2−5

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