わたしが居場所をみつけた佐賀

わたしが居場所をみつけた佐賀

column 40

朝夏 まなと

March 25, 2019

2019年2月。佐賀市出身の女優・朝夏まなとさんが佐賀市プロモーション大使に就任しました。朝夏さんは宝塚歌劇団 宙組の元トップスター。宝塚歌劇団を2017年11月に退団した後、数多くの舞台などに出演し多くのファンを魅了し続けています。佐賀バルーンミュージアムで行われた就任会見後、朝夏さんに佐賀県の思い出を尋ねました。

■就任式前に佐賀市内を歩かれたそうですが、町歩きはいかがでしたか?

就任会見直後にも関わらず快くお話ししてくれた朝夏さん

松原川沿いをのんびりと歩くことができました。こんなにのんびり歩いたのは久しぶりです。大きな道を外れて、小径に入ると素敵なお店と思いがけず出合ったりして。ゆっくり歩けてよかったですね。私が佐賀を離れてずいぶん経つのですが、若い人が戻ってきているのかな。すごく趣味の良いカフェとかが増えていてうれしいですね。

『佐賀城下ひなまつり』で、ひとつひとつデザインが違うおひな様を見ることができました。祖母の家に七段飾りのおひな様があったのを思い出しました。改めてひな人形にふれると、着物一つにしても総絞りの物があったりと、ずいぶん凝っているんだなと気がつきますね。本当に素晴らしかったです。

あと、『恵比須さんの雛飾り』(開運さが恵比須ステーション)というのを見たのですが、(恵比須さんがひな人形に扮しているので)女雛1人だけが女性で、あとは全員男性。あれはおもしろかったです。なんだか、いいオーラしかでていなくて「福」しかない感じの場所でした。あそこは2019年度のパワースポットだと思います(笑)。

張り子の恵比須さん七段飾りの前にて(ご提供:佐賀市)

■宝塚歌劇団を2017年11月に退団なさってから、以前に比べて少しだけお時間ができたということを伺っております。プライベートで佐賀に戻ったりすることもありますか?

去年のお正月は実家で過ごしました。お正月は一週間ほど佐賀にいたので、地元の友人と中央大通りにできた新しいカフェに行ったりしていました。友人たちの多くが実家を出て福岡に住んでいるので、お正月に帰省したときに会うんです。

いまはもう、佐賀にいた頃より、外に出た時間の方が長くなっています。リラックスをしに戻っているつもりはないのですが、佐賀はつい気が抜け過ぎちゃう場所ですね(笑)。「普通の自分」に戻れるので、それが自分にとってもいいことだと思います。

■佐賀に戻ると食べるものはありますか?

イカですね。佐賀といえばイカでしょう?(笑)。東京で、誰に聞いても「呼子のイカ」は聞いたことがあると言いますよ。……海を見て、磯の香りを楽しみながら、生けすから来たそのままをいただくなんて贅沢ですよね(笑)。いくつか好きなお店が呼子にあって、イカだけを食べに行くほど好きです。あんなに新鮮でおいしい透明なイカは、東京では食べられないと思います。こりこりの食感の刺身からの天ぷら……。あの流れはたまりませんよね。

海の香りとともにいただく朝夏さんも大好きな呼子のイカ。絶品です

佐賀牛は東京でも出会う確率が高いんです。最近は佐賀産のカキもお店で聞くことが増えましたね。あとはやっぱり海苔。今日、飛行機が佐賀空港へと降下しているとき、有明海の海苔畑が見えました。綺麗に並んだ海苔網の間を、何艘も船が行く姿が本当にきれいで、ずっと見ていました。いい風景ですよね。

空の上から見ると不思議な幾何学模様を織り成す有明海の海苔養殖(photo:水田秀樹)

■佐賀空港の周りは高い建物がなくて、視界が開けていますね。

そう。佐賀空港に向かう道も好きなんです。建物がなくて、空が広いんですよね。日本にあれだけずっと平野で空が見える場所も少ないように思います。みんな「ある」ものを誇るけれど「ない」ということも凄いことなんだと思います。建物や物は造ることができるけれど、「空」ってつくれないじゃないですか絶対に。都会から佐賀に来る人は、あれだけ広く空が見えるということに驚かれるのではないかと思います。それに、佐賀市内は坂が少ないのもいい。自転車でどこまででもいけますからね(笑)。

佐賀空港に降り立つと、どこまでも広がる青空が迎えてくれる

■佐賀で思い出の場所というとどこでしょうか。

小さな頃からバレエの発表会で立っていた佐賀市文化会館かな。中学校の頃、同じ舞台で月組の真琴つばささん主演の『うたかたの恋』を観て人生が変わったんです。普段自分が立っている同じ舞台に、宝塚歌劇団がやって来たということが不思議でした。当時の私は、将来なにになりたいかを考えていた時期だったんですね。キラキラとした舞台を見て「憧れ」という感情もありました。けれど、現実的に「舞台に立つ仕事とはどんなことだろう」という所にも興味を持ちました。当時から背も高かったので、「自分に向いている」って勝手に思いました(笑)。「これを職業にすれば、毎日舞台に立てるんだ」って。佐賀市文化会館は、自分の居場所が見えた場所です。

■今後、プロモーション大使として朝夏さんが佐賀の魅力を伝えるとしたら、どんなことをなさいますか?

大それたことはできませんよ(笑)。ただ、大使じゃない頃からけっこう佐賀には貢献していると思いますよ(笑)。福岡で公演があると、朝夏の故郷は佐賀だってみんな知っているから、ファンの方が足を伸ばして寄ってくださったり。イカ好きなのは公言していますから、けっこう多くの人が呼子には行っていると思います(笑)。自分にできる範囲で、佐賀の魅力を、たくさんの人たちにお伝えしていけたらと思います。

■現在、佐賀に住んでいて朝夏さんに憧れている子どもたちがいると思います。子どもたちにメッセージはありますか?

そうですね。一つ言えるのは諦めず、初心を大切にしていくことでしょうか。自分が「好きだ!」と思ったことを、ずっと思い続けられるように。やっぱり、どれだけ好きでも忘れちゃうこともあるんですけれど、挫折したときでもその気持ちに帰れるように。……かなう、かなわないは自分の努力だけではあらがえない部分はあります。ですが、そこに至るまでの過程や努力は自分を成長させてくれると思います。頑張ってほしいです。そして、どんなことでも楽しんでやった方がいいと思います。

最後は壺侍と一緒に!お忙しい中、ありがとうございました!

text by 井上英樹, photographs by 堀越一孝

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